ワット・プー(Wat Phu)はチャムパーサック県の県都パクセーから46キロ離れていて、12世紀のアンコール王朝の時代にクメール人によって建立したヒンドゥー教寺院遺跡群です。年代はアンコールワットよりさらに古くて、建築様式にはクメール様式のほかに濃厚なヒンドゥー教と仏教の影響が見られます。本殿は12世紀頃のアンコール様式で、宮殿、本殿、回廊パライ(大きな聖池)と参道など多くの遺構が残されています。2001年にラオスで2番目のユネスコの世界遺産として登録されました。
7世紀ごろ、ヒンドゥー教を信仰していたクメール人がカオ山の形に聖なるものを感じ、山の中腹と麓に寺院を建てたそうです。14世紀、仏教徒であるラオス人はこの地方に入り、ヒンドゥー教の寺院だったワット・プーに仏像を安置し、仏教寺院としてそのまま利用しました。今も寺院の参道には、男根をかたどった「リンガ」が飾られていて、寺院遺跡内部はヒンズー教の飾りと仏像が混在している状態になっています。