南のホーチミン市がベトナムの経済中心だと言うならば、ハノイは疑いもなく政治中心だと言えるでしょう。ハノイはベトナムで最も社会主義的な風格をもっている都市でしょう。というのは、ハノイの町では、革命の内容に関するスローガンが掛けられ、現在のロシアでも見られないレーニン肖像や男の子がかぶっている軍帽なども見られますから。分かりやすく言えば、ホーチミン市が中国の上海だと譬えるならば、ハノイの地位は北京に相当するでしょう。
ベトナム社会主義共和国の首都であり歴史的な名城でもあるハノイ市は、ベトナム境内の紅河デルタの西北部にあり、紅河の右岸、紅河とトーリック川の合流点に位置しています。南から北へ、また内陸から沿海へは、必ずハノイを経由するから、そこの地理的位置が非常に重要です。ハノイはベトナムで最も大きな河港があり、何本もの鉄道の線路がそこを通り、北方の道路の中枢でもあり、郊外にノイバイ空港とギアラム空港がありますから、水路、陸路、航空などの交通が便利です。ハノイは亜熱帯に属し、北部湾の海に臨んでいるため、気候が適宜であり、一年中が春のようであり降雨量も豊かです。花や木が生い茂っており、百花が咲き乱れているから、ハノイは昔から「百花の春城」とも呼ばれています。
ハノイは千年以上の歴史をもっている古い町であり、紀元の11世紀からはベトナムの政治、経済、文化の中心となりました。歴史的文化財が豊富であり、名所旧跡も多いから、「千年の文化財の地」だと誉められています。ハノイは621年に建てられ、中国の唐の時代の交州番頭府(即ちその後の安南都護府)が管轄した宋平県であり、当時のベトナム北部の政治、経済、文化の中心となり、「紫城」とも呼ばれ、その後は「羅城」、「大羅城」と改称されました。
ハノイはベトナムの政治中心だけでなく、主な観光都市でもあります。ハノイの名所旧跡の数が全国で最も多いです。有名な観光地はホーチミン陵墓、バーディン広場、ホーチミン主席府、ホーチミン旧居、ホアンキエム湖、西湖、一柱寺、文廟、医廟、玉山寺、鎮武観、鎮国寺、金蓮寺などがあります。ほかには、風景が絵のようにきれいな湖、青々と生い茂る木がいっぱい生えている公園や並木道、風格の違った旧跡や建物、殖民地時代のフランス風の庭園なども、観光客にとってリラックスしたり、ぶらついたりすることができるところでしょう。賑わいの夜店、あかりが光り輝くナイトクラブ、バラエティな美食などは、多くの観光客を引き寄せています。