ワット・シエンクアン(Wat Xieng Khuan)はメコン川の畔にある一面の草原に位置し、「ブッダ・パーク」とも呼ばれます。ここは名前の表示のように、公園の至る所に仏教とヒンズー教についての彫刻像が分布し、まさに怪人による一風変わった、また野心にも満ちあふれた記念物です。
ワット・シエンクアンは1985年に、元祖とされるルアンブー・ブンルア・スラリット師(Luang Pu Bunleua Sulilat)により営造されました。ルアンブー・ブンルア・スラリット師は僧侶、祭祀師に勤めて、またヨガ師でもありました。彼が仏教とヒンズー教の哲学思想や伝説および肖像学などを融合してこの神秘的なオブジェ造りに専念しました。ワット・シエンクアンに集中した彫像にシヴァ(Shiva)、ビシュヌ(Vishnu)、アルジュナ(Arjuna)、観音、お釈迦様およびヒンドゥー教と仏教の中で想像できる一切の神霊のオブジェが揃っています。俗人の彫像まで含まれるこれらの彫像はすべて技術のあまりぎこちない大工さんにより、元祖の指導のもとで彫刻したものと言えます。
特に公園に形が丸くて塔のような風変わりな建物があり、メコン川の向こう側のタイのノンカイにあるワン・セン・スック(Wang Saen Suk)という公園と呼応しています。地元でこの建物を「地獄と極楽」と呼んでいます。実際、仏塔の中に一枚の壁で仕切られ、壁の向こうに専ら人間が殉難を受けた模擬絵図と彫像だけが展示されているからです。これらはいわゆる地獄の世界です。そこから階段を上り一番上まで行くと、金色の仏陀が安置されるのが見え、極楽に入ったということになります。丸い仏塔の前にある芝生に百体近くの風変わりな仏塔が林立し、仏教とヒンドゥー教徒がうまく融合できたように見えます。その外側に巨大な仏像が横たわっていて後ろの壁に当たります。大仏は正面でこれらの仏像を見守っているように工夫されています。これらの仏像の剥がれの度合から見れば、ずいぶん年月が経ったように見えますが、実際50年しか経っていないのです。
ワット・シエンクアンはぎっしり仏教とヒンドゥー教の彫塑を並べ、この二つの宗教についての哲学思想や伝説、肖像などを融合させたことにより、神秘的オブジェの世界に仕上げたと言えます。誰一人として奇異な形をしたシヴァ(Shiva)、ビシュヌ(Vishnu)、アルジュナ(Arjuna)、観音、お釈迦様などに満ちあふれた世界に驚愕しないではいられません。