ダラットの建築と言えば、デザインが怪しく名前も尋常ではないトゥリー ハウス(Crazy House)を取り上げないといけません。根元がねじれている、巨大な「枯れ木」、巨大な「クモの巣」、口と目が光る動物の彫刻・・・一風変わったように設計したトゥリー ハウスは、実に巧妙なわざそのものです。ハウスの中はすべての螺旋状の階段の曲がり角に机が設けられ、そこでお茶を飲むことができます。一番上の部屋は天井にサンルーフが出来ていて、夜になるとベッドの上でも星空が見えます。またすべての部屋は水道管や冷暖房が付いているものの、一本のワイヤや水道管なども見えません・・・デザイナーのネガ(Nga)の綿密な思考力はなかなかのものだと窺えることができます。ネガ(Nga)は前ベトナム共和国大統領の娘で、建築学の博士として有名です。留学先から祖国に戻った後、ダラットで積極的に自分の創作に励み、トゥリー ハウス以外にダラットの児童文化宮の設計にも参与したと伝えています。ネガ(Nga)自身は奇談の色彩に富む美しい女性で、いつも60年代の身なりに拘っているということです。トゥリー ハウスの入り口の側の部屋に彼女の写真が飾り、一見すれば美人でおっとりとしています。写真は彼女の大胆に設計したトゥリー ハウスと共に人々に強いカルチャーショックを与えています。