バンコクの中華街「チャイナタウン(China Town)」は市街地の西部に位置し、バンコク市街地における最も賑やかな商店街の一つです。昔から中国広東潮州から多くの移民がタイに流れ、ともに中国本土の文化や風俗などを伝えて行きました。中華街はタイ語で通りの名前「ヤワラート(Yaowarat)」と言います。初めのころにバンコクに定住した中国人はほとんど耀華力路周辺に集まり、これがとうとう中華街の礎に変身してしまいました。実際、耀華力路はラーマ5世の時に営造されたものであり、最初「太子」という意味でしたが、中国人はその後「耀華力」に改名してとても相応しいと思われています。その規模と賑やかさと言えば、東南アジアでも一番だと言われます。全長2キロほど続く中華街はさすがに中国らしい雰囲気に溢れており、人気が集まっています。三聘街、耀華力路、石龍軍路及び近くの町から構成された中華街はやく200年の歴史を歩み続き、周囲の建物が殆ど古くなっています。それにもかかわらず商業などが依然として盛んに展開され、経営者のほとんどは中国系の住民や華僑たちです。特に中国の広東省の潮州、汕頭地区の風情がたっぷり味わえられ、これはバンコク中華街の一大特色をなしています。
中華街に充満するす店や商店の看板はすべて目立った中国語で表示し、中に中国から輸入した品物や現地で調達した商品が並べられています。数えてみますと食品店、酒店、百貨店、雑貨店、靴の店、工芸品店などがあり、枚挙にいとまがないです。もっとも多いのは金製品を経営する店であり、店構えがそれほど広くないですが、装飾はできるだけ豪華さを尽くしています。話によるとバンコクの金製品の70﹪は中華街にあると言います。金製品を取扱う店がぎっしり軒を並べることは中華街のもう一つの特色になり、話題を呼んでいます。数えてみますと何百とも言える金製品の店の玄関に巨大な看板が設置され、中のカウンターにきらきらと光る金のアクセサリーや黄金製品などが並んでいます。目を見張るほど山盛りになっているこれらの金製品は観光客の購買意欲をうまく掻き立ていると言えます。高級な店は中国から輸入した品物だけを取扱っており、貴州のマオタイ酒、北京の王致和臭豆腐、北京同仁堂の漢方薬、漳州(しょうしゅう)の片仔癀(へんしこう)、重慶の天麻などの漢方薬などがいくらでもあるような気がします。このほかに、中国語版の本やマガジンの店や中国と潮州語を使うシアターなども目に映ることができます。
中華街は昔からずっと中国の文化や伝統などを大切にし、華僑系のコミュニテェーの特色も色濃く保存しています。どの店の店先にそれぞれ「幸せ」、「出世」、「ことぶき」を象徴する「福、「禄」、「寿」の神様が安置されています。そして店の玄関の辺りによく中国らしい対聯や額縁が飾られ、対聯に「忠孝伝家久(忠誠と孝行が家に久しく伝わり)、詩書継世長(詩と書籍が世を長く保存する)」とか、「生意興隆通四海(商売が隆盛で四海に通ず)、財源茂盛達三江(財源も栄え、三江に至る)」などの目出度い言葉は載せてあります。バンコクに来る中国の観光客が必ずと言っていいほど中華街に行ってみたいと考えるほどです。そればかりではなく、ほかの諸外国人も中華街での中国商品に魅せられて好んで来るという感じもするのです。