タイのワット・ポー(Wat Pho)は「菩提寺」の意味であり、敷地面積が8万平方メートルに達しています。ワット・ポーは仏堂、僧侶室および仏塔からなっており、規模にしても現存する仏塔や仏像の数にしてもバンコクにある寺院の中で最も多いことから、「涅槃寺」、あるいは「涅槃仏寺」とも呼ばれます。ワット・ポーは本殿が二階建ての廊下に巡られ、廊下に合わせて394の仏像が安置されます。本殿の外側にある柱、柱と柱との間に154枚にも上る「ラマーケン」の物語りについてのレリーフが飾り、すべて大理石を磨いて出来たものです。これらのレリーフは非常に高い芸術の価値があると言われます。
ワット・ポーはバンコクで最も古い寺院であるうえ、最も大きい寺院でもあります。ワット・ポーは1793年にラーマ1世が命令を下し、建立させたものであり、1801年に完成しました。ただ13年間しか経たなかったワット・ポーはラーマ3世の時にまた改築され、元の大雄宝殿、方位殿および講経堂を解体した後、立て直した上に仏塔を二つと臥仏殿を増築しました。前後17年間にわたり、その工事を続けました。ラーマ4世になると仏塔を一つ増築したままで今の状態に定着したわけです。
ワット・ポーはさらに、バンコクで最も大きい臥仏を持つばかりではなく、もっとも多い仏像と仏塔も擁しています。臥仏の長さが46メートルにも達し、足の長さが5メートル、幅1.5メートルもあります。二つの足の裏が重なり合い、それぞれ真珠や貝殻などで108枚の目出度い図案が鏤められています。臥仏を造った工事に大変手間がかかりました。まずレンガや石で築いた後、全身を金メッキにさせます。それから数多くの美しい図案の彫刻に尽力しました。これらの一連の工事は並大抵のものではないと分かっていながら、皆が仏陀に対する信心から最善を尽くそうという力に変えました。
境内には大小合わせて99の塔が造られ、なかで高さ77メートルにも達する塔が71も数えることができることから「塔林」と呼ばれます。このほかに高さ41メートルにもなる大型マハ(サンスクリット語で、素晴らしいの意味である)塔が4つあります。ワット・ポーの本殿に造った廊下の柱、壁および各仏殿に数多くの碑文が刻まれています。碑文は3世国王の手により造られたものです。3世国王はタイ全土に広まった哲学思想や伝統的按摩技術を収集し、整理させた後、石碑に彫刻してもらいました。内容は建築、歴史、仏教、医薬、格言、文学、地理、風俗習慣などの広い分野に及ばます。この意味でワット・ポーは「タイの初めての大学」とも呼ばれます。2008年、ユネスコでは碑文を「世界の思い出」としてありがたく世界遺産と登録されることにしました。
ワット・ポーはタイの古典的マッサージ手法を教える学校を開設したことで話題を呼んでいます。この学校では国内外の生徒を募集し、伝統的手法を伝授しています。ワット・ポーはタイの初めての公共教育のセンターと指定されます。ワット・ポーはタイ全土からの哲学者が憧れた場所としても注目を集めています。
ワット・ポーの周辺に無数の尖塔、螺鈿状の尖塔が青空に並び、林立しています。その中で釣り鐘状になっている巨大な塔が四つあり、それぞれ緑、青、黄色およびオレンジ色の瓦で覆われています。このように目を引くワット・ポーはタイの最も人気のある観光地となっています。