バンコク国立博物館

バンコク国立博物館はバンコクの近くを流れるメナム川に隣接し、王宮広場の国立タマサート大学の隣にあります。1874年に造られた博物館は東南アジアで台北の故宮博物館に次ぐほど大きいものとして知られています。博物館の中で主に国王と皇后様がお乗りになった御輿を始めとした生活用品などが陳列されています。博物館の歴史がラーマ5世の治世にあたる1874年に遡ることができます。もともとは当時の副王の宮殿として使われましたが、副王の制度が廃止された後、新たに新しい博物館の役割を与えられました。博物館の中では合わせて1000点を超える展示品が陳列され、年代を追って追想できるタイの芸術史を記録していると言えます。この辺りに高尚な文化の香りが漂い、博物館が広い敷地の中に荘厳な姿で見せてくれます。この博物館自体は歴史的価値があるものと評判されています。

博物館は三つのエリアに分けられていて、タイの歴史を物語る歴史館の中に太古から現在に至る歴史一部始終が展示されています。それに各国王時代の模様をリアルに再現させようと模型やパネルで分かりやすく説明しています。歴史館の中に入りますとまず目に映るのが仏陀礼拝堂であり、「プラティナン・プッタイサワン」と呼ばれた礼拝堂は昔、重要な仏教の儀式がとり行われた場所でした。礼拝堂の中に「プラプッタシヒン｣という御名の仏像が安置されています。この御像は、ラーマ１世の時代にはエメラルド寺院に移動され、4世のときにまたここへ戻されたといいます。さらに中に進むと赤色の建物が見え、これはラーマ1世の手により建てられたものだと言われ、建築材料としてすべてチークを使っています。アユタヤ時代のビルマとの戦争の模様も忠実に再現させています。

博物館の中核をなしているのは大きな講堂です。講堂は展示物ごとにそれぞれの部屋に分かれていて、展示室の間に皆、通路でつながっています。まず交通についてのものが展示されています。主に歴代の国王が乗ったとされる御輿、象に乗るための鞍なども並べられています。それから二階に上がると、国王の身周り品が陳列されていて、内容が食器や服装、指輪、冠などが数多くあります。これらのものは殆ど金で用いられています。また銀、陶器やベンジャロン焼きなどの食器や壷が並び、国王たちの日常の生活のあり方を連想させられます。さらに楽器の展示コーナーが設けられていて、見れば様々な古典楽器が並べられています。シリトーン女王が演奏されたソードゥアンという弦楽器まで大事に保存されています。ピンクラオ国王の住居は二階に展示されています。これを通じて少しずつ国王様の普段の生活の１コマが垣間見ることができます。「フンラコーンレック｣というタイ伝統の人形劇に関するものも陳列されていていずれもきれいな服装に包まれた人形の顔は柔和な表情を見せています。

タイは昔隣国との戦争の際、象を使ったほかに、槍や大砲も使ったといわれ、これらの槍や大砲も博物館の中に並んでいます。

最後に仏教の儀式に使う様々な品物が陳列されていて、例えば僧侶が座る椅子や托鉢の際にもつ鉢などがあり、仏教国家であるのを裏付けています。特別室の右側にある建物の中に王室の葬儀に使われた山車が陳列されていて、すべて金粉で装飾した山車はきらきら輝き、さながら手の込んだ芸術品のように見えます。

最後に敷地の北側にラタナコシン（バンコク）・アユタヤ・スコータイ・ラーンナー各時代の美術品が並んでいます。このほか、ロッブリー・古代ヒンドゥー・スリヴィジャヤ・ジャワ・ドヴァ―ラヴァティなどアジアの各スタイルを集約した仏教関係の美術品の数々も、石の仏像を中心に陳列されています。