ワット・プラケオ(通称 エメラルド寺院)はタイの首都であるバンコクのグランドパレスの中に位置し、宮殿施設と同じ1789年に造成されたものです。皇室が宗教儀式を行う場所として使われるワット・プラケオはバンコクの最も大切な寺院です。この寺院はラーマ1世が宮殿を建造する時に建立し、1784年3月27日に玉仏を迎え入れたので、ワット・プラケオと名付けられました。
ワット・プラケオはグランドパレスの東北部に位置し、タイの三大国宝として知られています。グランドパレスの四分の一を占めるワット・プラケオは玉仏殿、先王殿、仏舎利殿、蔵経閣、鐘楼及び金塔からなっています。この中で玉仏殿はメイン建物であり、本殿の中にタイの国宝とされる玉仏が安置されています。玉仏は高さ66センチ、幅48センチになり、一枚の玉石で彫刻したものです。毎年季節が変わるたびに、タイの国王が自ら玉仏のために着替え、国の安泰を祈願する儀式が行われます。その前にある二体の仏像がそれぞれ国王の1世と2世を象徴し、ともに38キロの黄金で造ったのです。それに政府の閣僚が更迭した時にも新しい政府の閣僚たちは玉仏の前に集まり、国王に就職の誓いを行います。毎年5月の農耕季節になると、国王がここで宗教儀式を挙げ、五穀豊穣を祈ります。さらに寺院の周囲に約一キロほどの壁画長廊が設けられています。上に178枚ものインドの古典文学である《ラマヤナ》を題材にして作った絵巻が飾っています。壁画はラーマ1世の時に描いたものであり、不思議な神話を伝えています。緑の怪物は人の妻だけを奪う悪玉であり、白色の猿は神通力がある善玉だと言われます。この猿は一度、国王を助けて皇后を救い出したことがあったということです。また神通力を使い、悪者の侵入から町を守ったこともあったと伝えています。絵画の技法が明るくて立体感も強いです。これらの絵巻がすでにタイの言葉に翻訳されています。それに寺院の中に焼き物の屏風が置かれており、その上に中国の《三国演義》の中から取り上げた物語を色鮮やかに載せています。本殿の中は綺麗な絵柄で表装し輝いています。その周辺に仏陀が成仏した物語りの壁画も嵌められています。前後の入り口辺りに合わせて6つの銅製の見張り獅子が飾り、口が開いてとても生き生きとしています。
外の高台にあわせて7対の仙人の彫像が並び、上半身が女性の体をして下半身が獅子の体をしたものもあれば、上半身が男性の体をし、下半身が鳥の形をしたものもあります。この鳥の形をした仙人は「キンナロー」と呼ばれ、片手は腰に付け、片手は胸まで挙げています。別に鳥の神様と言われるものがあり、片手に剣を持ち、片手は胸まで挙げて二羽の翼を生やしたものもあります。
蔵経閣は金片で造った経典を納めて正方形の形をして上は尖っています。屋根がユニークな鋸の口の形をしていて四つの入り口にそれぞれ夜叉が見守っています。蔵経閣の前に幾つかの東屋があり、中に歴代の国王を象徴する白象と国のシンボルマークが陳列されます。そして蔵経閣の北側にカンボジアのアンコール・ワットに倣い、造ったこじんまりとした模型があり、ラーマ4世が令を下して造らせたものです。