ワット・プラシン(Wat Phra Singh)寺院はチャンマイ市のサムラン(Sam Lan)ロードに位置し、市内にある最もステーダスの高い仏教寺院であり、一番人気のある観光地でもあります。ワット・プラシンはメーライ王朝のパイ国王の手により西暦1345年に建造されたものであり、その後、幾たびの増築により現在の規模に定着したものです。中に彼の父の遺骨が納められていると言われます。ワット・プラシンを構成する屋根や梁、仏像、壁画などは何一つ優れていないものがなく、すべて目を見張るほどきらきら輝いています。
寺院の周囲に古い松や柏などが植えられ、眩しい太陽の光を遮っています。玄関から上がる階段の両側に彩りのガラスや釉のタイルで散り嵌めた巨大な龍が飾り、それぞれ七つの頭が工夫されています。龍の頭が高くもたげられ、厳かな格好をしています。長さ150メートルにも及ぶ龍の体は309の階段に従い、仏寺の入り口まで上がっていきます。14世紀に建てられたこの寺院は悠久な歴史に恵まれ、もともとチェンマイ市内のプラシン寺院に倣い建てたと言います。ワット・プラシンの一番の見どころはランナー(Lanna)王朝の早期に出来た青銅製の仏像であり、西暦1400年に隣の町から招かれたと言います。この銅像は別名でプラ シン(Phra Singh)の銅像とも言います。殿堂の中に飾った壁画は古代の服飾や風俗をテーマにしたものが多いです。古い年代のために一部の壁画が剥がれていますが、画面の中に描いた人物の顔などが生き生きとしています。このほかに精緻な工芸で造った数々の木彫りも陳列しています。これらの壁画はタイの北部における伝統的芸術と仏教芸術品の代表作と推奨されます。寺院は毎年4月に行われた水かけ祭りのメイン会場にも指定されています。毎年4月13から25日にかけて水かけ祭りが盛大に挙げられ、地元の住民が必ず寺院の仏像のために沐浴や洗浄の儀式などを行います。境内に高さ20メートルほどの金塔が聳えていて、16世紀に造られたと言います。中にお釈迦様の仏舎利が保存されていると考えられます。そして塔の上にタイの国王からプレゼントされた水晶の蓮の花が飾っています。
また敷地内の東西南北に四つの仏殿が配置され、その間に通路でつながっています。どれもが金メッキの大仏が中に安置されています。その本堂にあたる北側の仏殿にタイの北部における最もご利益を示してくれると考えられる三つの仏像があります。ワット・プラシンは普通の寺院と違い、境内に様々な花が咲き誇り、ざっと見ればとても寺院とは言えない雰囲気が漂っているのも印象的です。